ご相談Q&A

うつ病の治療はいつまでするの?

(2008年10月 3日 21:29)

IP08_B32.JPG相談
 現在、うつ病で薬物療法を受けています。調子の方はかなりよくなったのですが、主治医の先生からは、「しばらくこのままで様子を見ましょう」といって、薬を減らそうとしません。このまま、薬を減らさないで大丈夫なのでしょうか?いつまで薬を飲まなければいけないのでしょうか

お返事
 いつまで内服すればいいのかという問題は、今までに多くの研究がされています。その中から、信用度が高く正確なものを知っておくべきですね。
 うつ病の寛解後(remmision)の継続療法と回復後(recovery)の維持療法についての最新の総説は、名古屋市立大学の古川壽亮先生(2006年までの論文をメタ解析したもの)が詳しく述べています。(Long-Term Treatment of Depression With Antidepressants: A Systematic Narrative Review, Can J Psychiatry. 2007 Sep;52(9):545-52. Review. )以下がその内容です。

depression_remission.gif・薬物療法開始初期4週間ベンゾジアゼピン系抗不安薬を併用することは抗うつ剤単剤よりもよい。抗うつ剤の内服量は少ない量でも標準量でもそれほど大きな効果の差はなかった。
・抗うつ薬で治療を始めた人の半数は、ほぼ3ヶ月以内に寛解状態(remission)になる。寛解にならなかったうつ病患者で、抗うつ剤の増量をした場合も別の抗うつ剤の変更をした場合も、統計的に有意に症状がよくなった(改善率の向上)という証拠(エビデンス)は全くみられなかった。リチウム・甲状腺ホルモン・アリピプラゾールを加える強化療法(augmentation)のみ効果がみられた。
・寛解後の継続療法は、3-9ヶ月間は抗うつ剤の量を減らさずに様子を見る事が必要。その後回復(recovery)して抗うつ剤を同じ量で内服する維持療法は再発率を半分に抑えるということは様々な研究で証明された。(ただし、維持療法は32-40週がベストで、それ以上継続しても再発率はそれほど変わらない)3年間維持療法を続けることによって、再発抑制率は少しアップして60%まで抑えることが出来る。
・うつ病に初めて罹患した人が抗うつ剤を内服せず1年以内に再発する確率は10-20%、3年以内に2回以上のうつ病の状態になった人が寛解になった後抗うつ剤を内服せず1年以内に再発する確率は40-50%(80%という報告もあったがメタ解析では40-50%)である。
・ここのケースでは、個人再発率(Patient expected event rate for relapse)、経済的負担副作用などを考えた上で、維持療法をするかを判断すべきである。

 以上をみていかがでしょうか?以上を総合して読むと、寛解(remission)に達しても少なくとも3-9ヶ月継続療法を行って回復(recovery)まで持っていき、回復後再発防止のために約32-40週は抗うつ薬を内服していた方が良い、ということになります。しかし、初発のうつ病患者でストレスの少ない環境で生活が出来る人であれば、再発率も10-20%なので回復後は継続療法をしないで服薬をやめても良いとも考えられます。その当たりの判断は、信頼できる主治医と相談した方が良いでしょう。