こころの豆知識
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IP08_B11.JPG アトモキセチン(商品名:ストラテラ)は、ノルアドレナリン再取り込み阻害薬(NRI)といわれるものでノルアドレナリンのトランスポーターを塞ぐことで再取り込みを抑制します。ADHDに関連の深い前頭前野には、ドパミンの再取り込み口(トランスポーター)がほとんど存在しないため、ドパミンも、ノルアドレナリンのトランスポーターより再取り込みが行われます。その理由から、アトモキセチン(商品名:ストラテラ)によって、結果的に前頭前野ではノルアドレナリン・ドパミン共に濃度が高まります。それによって、メチルフェニデェート(コンサータ)と同じようにADHDの症状の改善を示します。脳の他の部位ではドパミン濃度を増やさないので、依存や多幸など精神的な副作用を起こしにくいという利点もあります。

 ノルアドレナリンの再取り込みにしか作用しないことから「NRI」と呼ばれています。類似の薬としてブプロピオンやマプロチリンがあります。マプロチリンはルジオミールという名で日本でも発売されています。また、ノリトリプチリン(商品名ノリトレン)もノルアドレナリン再取り込み作用が強いことから、有効な場合があります。ノリトレンとルジオミールを最大量まで使って、ADHD症状が軽快した成人例の報告があります。

IP08_B15.JPG ADHDの治療薬の代表は、中枢神経刺激薬メチルフェニデェート(商品名:コンサータ)です。これ は、ADHDの症状である多動性・衝動性・不注意さのすべてに効果を現すと考えられていますメチルフェニデェート(コンサータ)の作用機序は、ノルアドレナリンおよびドパミンの再取り込みを抑制し、なおかつドパミンの放出を促進するというものです。有効性は約80%で、残りの20%には無効ということであることははっきりしています。。コンサータを内服し始めても、学校での問題行動があまり変わらないという相談が良くあるのはこのためです。そのため、当院では薬の効果を判定するために、内服後にもう一度、遂行持続検査(CPT)を施行し客観性を持って対応するようにしています。
 また、コンサータの副作用は、「食欲低下」「寝つきが悪くなるという睡眠障害」が主ですが、時として頭痛、腹痛という訴えもあります。また、チックも悪化させることが多いです。薬の調整は、保護者の方と医師とが適切な情報交換が重要になってきます。その意味でも、信頼できる専門医にかかることが何よりです。

ADHDの診断をするには?

IP08_B20.JPG ADHDの診断基準は「不注意、および/または多動性-衝動性の持続的な様式で、同程度の発達にある者と比べてより頻繁にみられ、より重症である。これらの症状のいくつかは7歳以前から存在 し、また、学校や家庭など少なくとも2つ以上の状況で存在する」と定義されています。落ち着きがない注意力の欠如予期せず行動を取るを基本症状とする行動障害で、その行動により社会的な活動や学業の機能に支障を来す疾患です。
 しかし、そのような行動があれば、即、ADHDの診断が出るかと言えばそうではありません。このような行動異常は、他の精神疾患でも身体・神経疾患でも現れることがあります。また、治療薬のコンサータを使う場合、その副作用のことも考えなければいけません。そのために、ADHDの診断には、以下のような手続きを行います。

①初診時:診察で今までの状況の確認、チェックリスト(ADHD評価スケール、子どもの行動評価スケールCBCL)の記入、コンピューターによる注意力持続テストCPT検査採血
②2回目の診察まで:担任教師にチェックリストを記入してもらい学校で様子を確認
③2回目以降:心理検査で知能面・学習面の評価
④医学的検査:脳波検査・頭部MRI検査→脳の変性疾患など器質的疾患の鑑別

以上のような手続きを経て、ADHDの診断を行い、ADHDであると包括的にいえることができた場合は、コンサータなどの薬物療法や親御さんへの対応訓練(ペアレント・トレーニング)などを行っていきます。

チック~治療とその後の経過~

 子どもにチックがあっても、心配しすぎてはいけません。多くの子ども(男児は4人に1人、女児は10人に1人)が、子ども時代のどこかでチックを発症します。軽度のチックは全く問題はなく、心配する必要はありません。ただし、チックが治らずに子どもが生活しにくくなるようなことがあれば、その時は心配するべきです。
CHLI006.gif チック障害の場合、最初のチックは単純で頻発することはありません。進行するにつれて、チックの症状は頻発するようになります。最終的には、他のチックも加わり、重症化すれば運動チックと音声チックの両方が出現します。チックが1ヶ月以上続いて、学校および家庭での生活や友達つきあいに支障を来すようになったら、子どもの心療内科・精神科に相談するべきでしょう。
 チック障害の大半(およそ3分に2)が青年期になると治ります。一部は進行して何年も、あるいは何十年も続く中等症あるいは重症の障害になります。一生続くチック障害でも症状が消失する時期があり、数ヶ月続けて症状がみられなくなることもあります。
 チック障害が一生続くことは比較的稀ですが、チックを抱えて生きてゆくのはとても大変なことです。チック障害のある患者は屈辱感と低い自尊心を抱きやすく、友人関係が築けずに、孤独な生活を送っています。重度のチック障害がある人は就職が難しく、ある研究によれば、半数が仕事に就いていません。音声チックを抱えて生活することは困難なものです。音声チックのある人は理由もなくぶつぶつ言ったり、うなり声を上げたりします。職場や友達といるときでも、いきなり罵声を発することがあります。
 子どものチック障害があるからといって、決して絶望してはいけません。治療に症状は緩和し、子どもは落ち着いた生活を手に入れることができます。また、中等度や重症のチック障害を抱えた多くの人が、医学・法律・スポーツ・ビジネス・コンピューターサイエンスなどの様々な分野で成功しています。効果的な治療を受けるとともに、障害が生活に及ぼす影響を小さくして、障害と共に生きることを学んで成功しています。
 「アスペっぽい」「アスペくさい」という言葉を良く耳にするようになりましたが、言動が不自然な児童や青年が診断学的手続き無しに「アスペルガー症候群」という病名で話題に上ることが少なくありません。1981年にウイング(Wing)によって大きく取り上げられた「アスペルガー症候群」は、元々は1944年にハンス・アスペルガーが論文「自閉性精神病質」が土台になっています。そして、1992年に正式に発刊したICD-10(国際的疾患分類)に初めてこの症候群ははっきりとした形で現れます。まだ、20年もたっていないうちにこれほどまでの市民権を得てしまいました。では、ハンス・アスペルガーとはどんな人だったのでしょうか?
074-h-asperger-2.jpg ハンス・アスペルガーは、1906年オーストリア・ハンガリー帝国で生まれ、ウィーンで育っています。ウィーン大学病院で小児科医として働いていましたが、治療教育部門の責任者になり、自閉性精神病質の子どもに興味を持つようになりました。その間、第二次世界大戦前にドイツとオーストリアが民衆歓迎の中、合併しました。その後、「自閉性精神病質」の論文を発表するのですが、アンス・アスペルガーはナチスの優性政策や安楽死に関わる問題にかなり配慮して、「自閉性精神病質」の子ども達が決してそのようなガス室おくりの対象にならないように切々と訴えかける歴史についてはあまり知られていません。社会的に問題を起こすも知的には優れた精神病質であって精神病ではないこと、こだわりを生かせて有能さを発揮できれば就労可能であることを強調していたようです。しかし、アスペルガーと同じ年に論文「幼児早期自閉症」を発表したカナー(Kanner)からは生涯無視され続けました。それは、カナーがユダヤ人であり、ナチスに母親と同胞を殺された歴史があり、ナチスドイツのギャラリーであったハンス・アスペルガーに嫌悪感をもっていたと言われています。実際、ユダヤ人が多くいる英米の自閉症研究者・臨床家はその後もアスペルガーについては全く取り上げませんでした。この呪縛から取れて、晴れてウィングが「アスペルガー症候群」を取り上げたのは、ハンス・アスペルガーが死去してからすでに10年足らずがたっていました。何気なく使っている「アスペルガー」ですが、実はこのような歴史があったのです。
 今の現状をハンス・アスペルガーはどう思うのでしょうか?何か皮肉めいたものを感じてしまいます。
IP08_C08.JPG 更年期障害とは閉経前1-2年前から出現し始める「一般的な診察や検査所見では異常が見つからない自律神経失調症を中心とした不定な症状を訴える状態」のことをいいます。症状としては、ほてり、のぼせ、動悸、異常な発汗、冷えなどの血管運動神経系症状、悪心、嘔吐、食欲不振、便秘などの消化器系症状、頻尿、排尿時痛、外陰部のかゆみ、不正出血などの泌尿器系生殖器系症状に加え、イライラ感、頭痛、めまい、耳鳴、不眠、不安、憂うつなどの精神神経系症状と多岐にわたっています。つまり、更年期障害は卵巣機能の低下、失調によって間脳、下垂体の機能亢進を起こし、内分泌・自律神経の失調をきたすもの
 うつ病の主症状は精神に起こります。憂鬱な気分、行動や思考の抑制など。悲哀・おっくう・不安・罪責感・決断不能などをともないます。中には不眠・頭重感のような身体的な症状が起こることもあります。
 更年期障害が原因でうつ病になることもあります。更年期になって初めて起こる抑うつ状態を、更年期うつ病といいます。
 更年期障害は専門の医師にかかることが大切です。ホルモン療法や鎮静薬の投与、精神療法が必要です。

夜更かしの現状と問題点

 24時間営業のコンビニや託児所を設けて深夜営業に励む居酒屋に幼児の姿を見かけることも珍しくなくなりました。2002年の全国調査では、3歳児の過半数は夜10時をすぎても起きている、また、2003年には小学6年生の6%、中学3年生の66%の就床時刻は午前0時過ぎとなり、小学生の訴えのベスト3は、あくびが出る(62%)、眠い(58%)、横になりたい(47%)、となっていました。
IP08_A40.JPG 生体時計の周期は24時間より長く、年齢に関係なく朝寝坊や夜更かしの方が楽にできます。外で遊びの場が喪失し、ゲームを含むメディアが普及した現代では、かつてないほどきちんと寝るための工夫が必要です。昨今ではTシャツ、ジャージのままで寝る子どもも多い状態です。「寝間着に着替える」「翌朝に衣類をそろえて枕元に置く」などは昔からの「入眠儀式」でした。実はこのような儀式は重要なのです。親はその子どもにあわせた入眠儀式の習慣化に力を注ぐことが必要です。
 また、朝、太陽の光を浴びて起きることも重要です。24時間周期の地球で生きる動物であるヒトは、眠り、朝の光を浴び、体内時計をリセットすることで日中の活動をすることができます。朝起きるときに、カーテンを開けて太陽の光を浴びるという当たり前の生活を見直しましょう。
 睡眠不足は、各地の教育大学の研究からも学業成績に大きな影響を与える実地調査の研究報告が多くされています。睡眠不足から来るセロトニン活性の低下でイライラ感、攻撃性の増加といった感情制御の問題も起きてきます。
 寝ている時間は何もしないから少なくしてしまうというような、睡眠をないがしろにする行動はできるだけ慎み、十分睡眠をとって充実した生活を送りましょう。

寝ないと太る!

IP08_B38.JPG シカゴ大学の研究結果から、睡眠時間が減ると、糖尿病や高血圧などの生活習慣病の危険が高まると示唆されている。これに加え、最近では様々な生活習慣病の現況である肥満と睡眠との関連がクローズアップされています。(Spiegel K, Leproult R, Van Cauter E:Impact of sleep debt on metabolic and endocrine function.Lancet. 1999 Oct 23;354(9188):1435-9.)
  睡眠時間が減ると朝のインスリン分泌が悪くなり、血糖値が上昇し、交感神経系の活動が高まり、コルチコステロンが夕方になっても減少しにくくなります。また、睡眠時間を減らすと老化を促進することもはっきりしました。太る成因としては、レプチンの低下やグレリンの上昇も含め、「夜更かし→慢性の時差ぼけ→体調不良→日中の運動量低下→肥満」が想定されています。
 親はADHDの子どもに「してほしくない行動」を目にすると怒りやイライラがつのり、ストレスを抱えます。また子どもも絶えず怒られる中でストレスを抱えることでしょう。単なる悪循環の繰り返しになってしまうことは少なくありません。
IP08_A36.JPG ペアレントトレーニングは、ストレスや深刻な悩みを抱える家族を支援する方法の一つとして、ハンス・ミラー博士によって1974年に開始されました。
 ポイントは、以下になります。
行動の分類化
 できるようになって欲しい行動とやめてほしい行動を行動観察記録をとって分析する
注目と無視
 できるようになった行動はほめ、望ましくない行動は無視
トークンシステム
 できるようになってほしい行動を強化するために、子どもが見事にすることができたら子どもが好きなものや喜ぶもの、満足するもの、例えば御菓子を与えたり抱きしめたりする(これを強化子という)。しかし、御菓子ばかりあげていたり、抱きしめてばかりいては親の方も対応に困るときがある。トークンとは、それ自体では価値はないが、価値のある実際の強化子と交換できる代用貨幣(グリーンスタンプ、ベルマークなど)のことをいい、これらを使って、うまく子どもに伝えていく
タイムアウト
 ADHDの子どもは注意散漫さ・衝動性がみられるため、長時間うまくいかない状態を延々とやっていても行動は修正されるどころか、かえって悪化をしてしまう。子どもが興奮して手がつけられなくなったとき頭を冷やす意味でも、親がその場から立ち去るなどの行動で時間設定をする
 以上のようなことは、親御さんが一人でやっていくことはかなり難しいことです。自分の子どもに対してはどうしても感情的になるのはどんな親御さんもあって当然です。専門家と一緒に考えながら、計画的に行っていくことをお勧めします。

IP08_B36.JPG 1980年代後半以降に職場の共同体的雰囲気が失われていき、さらに、職務境界の設定の曖昧さがある日本的職場という特徴から、メランコリー親和型者が際限ない仕事の負担を背負うことになって、過労死・過労自殺に追い込まれやすいのではないかと大野正和は考察していました(「過労死・過労自殺の心理と職場」青土社)。そして、臨床現場からは、1980年代からうつ病の病前性格としてのメランコリー親和型あるいは執着気質よりも、より若年期発症の軽症で遷延化傾向のあるディスチミア親和型(樽味)へと変化してきていると言われています。メランコリアは自責の病であり、ディスチミアは他罰感情に根ざしています。
 高度経済成長の時の日本は、国民全体で経済を発展させていこうという気運が中心でしたが、小泉政権以降の自由資本主義経済では、堂々と個人の利益を追求することは当然のことという雰囲気が強くなりました。ライブドアの堀江社長がその典型でしょう。生きる価値観が個人主義的なアメリカ的価値観に大きく変わることで、規範・規則を押しつけられる職場におかれて、他罰的な気分変調を起こす現象が広がるのも当然のものかもしれません。
 ここで重要なのは、そのようなディスチミア親和型うつ病といわれている人でも中には治療に反応するうつ病(例えば双極性うつ病など)の方がいることです。時として、偉い先生から、物事が思うとおりにいかないのは「うつ病」のせいではなく、未熟な人格に問題があるのだと気づくことが治療として必要、と言われたりすることがあるようですが、ディスチミア親和型うつ病というレッテルを貼ることより、決してあきらめずに根気強く治療をしていくことが重要です。

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パニック障害の認知行動療法

 薬物療法で発作を抑えることができても、広場恐怖や予期不安が完全に消え去るまで、かなり時間がかかるのが普通です。そんな時、認知行動療法を試してみるのがいいでしょう。認知行動療法は、新たな学習を積み重ねることによって、誤った認知を正しくしてゆくものです。
CHEX064.gif 例えば、電車に乗っているときにパニック発作が起きると、その二つが結びついて頭に刻み込まれます。時と場所を選ばないのがパニック発作ですから、電車に乗ったから起きたわけではないのですが、本人は電車に乗ったからまた発作が起きると、思いこんでしまうわけです。これが誤った認知で、予期不安を引き起こし、電車を避けるという広場恐怖につながります。
 ですから、電車に乗るという行為が発作を引き起こすのではないということを学習して、電車=発作という誤った認知を修正しなければいけません。
 認知行動療法は、こういった認知の修正に大きな力を発揮します。予期不安や広場恐怖に悩んでいる人は試す価値があります。ただし、やりすぎると、逆効果になることがありますので、できるだけ専門の医師のもとで行うことが大切です。

CHTI038.gif 抑肝散は中国は明の時代、小児の夜泣きや精神不安に対して、母子同服処方として作られた経緯があります。その後応用範囲が拡大され、小児に限らず「怒り」を主体とする精神症状に用いられてきました。「怒り」は、漢方医学では、五臓の一つである「肝」の陽気の異常亢進ととらえ、抑肝散は文字通りこの肝陽気の異常亢進を抑制し「怒りを治める」というべきものです。

 こんな漢方薬が、今、認知症の攻撃性、境界性パーソナリティ障害の怒りに対して有効性が示されています。これは、「怒り」「攻撃性」に対して有効なのであって、原疾患を治すものではありません。しかし、この「怒り」「攻撃性」というものを西洋医学の向精神薬で押さえ込もうとすると眠気・認知機能の障害などの副作用が出てしまい、この症状をコントロールすることは結構難しいものです。そんなときに、抑肝散という漢方薬も選択肢の一つになれば治療も幅が拡がるかもしれません。

 パニック障害の治療法には「薬物療法」と「認知行動療法」があります。発症初期や急性期には、抗うつ薬・抗不安薬が有効な治療となりますが、慢性期には認知行動療法が有効であるとわかってきています。
CGPH019.gif 「パニック発作」は薬物療法で、ほぼ100%近く抑えることができ、発作がなくなることで予期不安も普通の生活に支障がない程度まで改善されます。薬の使い方は、医師のよって違いはありますが、発症初期や急性期であればSSRI(デプロメール・パキシルなど)などに代表される抗うつ薬を中心にして不安時頓服として抗不安薬(ソラナックス・メイラックスなど)を使うのが一般的です。また、同時に最小限の認知行動療法的カウンセリングも行っていきます。
 ここで重要なのは、パニック発作を完全にコントロールし、予期不安・広場恐怖を防止して、日常生活に変化が生まれるまでは、しっかりとした薬物療法をすることです。中途半端な量での薬物療法は、治癒までの期間を延長して遷延化させることもありますので注意です。
 薬物投与の終了は、パニック発作・広場恐怖・予期不安などの症状がなくなり、安定した状態が6ヶ月以上続くようになったら、3ヶ月ごとに25%くらいずつ用量を減らしていき、これを繰り返して治療の終了につなげます。再発予防には、それまで行ってきた認知行動療法が効果を発揮します。

SSRIとは?-有効性と副作用-

 選択的セロトニン再取り込み阻害薬(Selective Serotonin Reuptake Inhibitors; SSRI)は抗うつ薬の一種。シナプスにおけるセロトニンの再吸収に作用することでうつ症状の改善を目指す薬。
 SSRIとして有名なプロザックはアメリカで最も広く用いられている抗うつ薬であるが、治験が殆んど行なわれていないため、承認申請中ではあるが日本国内における発売は未定である。日本で承認済みなものは、フルボキサミン(デプロメール、ルボックス) 、パロキセチン(パキシル) 、セルトラリン(ジェイゾロフト)がある。
illust522.png 従来の抗うつ薬でみられた便秘・口渇などの抗コリン系副作用は少ない内服しやすい比較的新しい薬であるが、内服初期にみられるアクチベーション症候群や薬を急にやめることによるセロトニン中断症候群などの問題もあります。

アクチベーション症候群
 SSRIの投与初期に現れる不安、焦燥感などを特徴とする中枢神経系の有害事象。重症になれば、企死念慮、攻撃性、アカシジア(着座不能症)、躁状態などが現れることがあります。

セロトニン中断症候群
 最も多い症状はめまいで、次に多いのは、知覚異常で、通常、上半身か下肢の近位部にあらわれ、灼熱感、刺痛感、しびれ感、電撃感といったように表現されます。その他、消化器症状では特に嘔気が現れます。疲労感、頭痛、発汗、筋肉痛、神経過敏などの精神症状、不眠や鮮明な夢などの睡眠障害がみられます。また、運動異常としてアカシジア(正座不能)、不安定歩行、口及び舌の運動異常、精神症状として、抑うつ気分、突然の泣き、易興奮性、情緒不安定がよくみられる症状ですが、これらは原疾患であるうつ病の再発としっかり区別する必要があります。
 SSRIの中断症状の大半は、中止ないし減量の1~3日以内に発現し、中止後一週間以上経過してから発現することはめったにありません。症状は通常軽度で一過性のものです。
 実際にこのような中断症状が起こってしまった場合には、今のところ再投与以外によい方法はありません

  パニック障害の療法には薬物療法認知療法行動療法があります。治療の中心は薬物療法です。パニック障害は本来、初期の治療が早く適切であれば、薬物療法を数ヵ月間続けるだけで治ることも多いのですが、早期に病気を認識することは難しいので、予期不安や広場恐怖、うつへと進行してしまい、長期間苦しむ方が多いのです。
  上手に治療が進めば、完治まで持って行けます。パニック障害の完治とは、発症前の状態に戻るということ。これは単に、薬を使わずに発作が治まっている、と言うだけでなく、予期不安や広場恐怖も無い状態になります。発作は先行して治まるものですが、予期不安と広場恐怖はかなり長期間付きまといます。しかし、完治をすると、あれに乗れた、そこに行けた、などという意識を持たずに行動しています。あれほど怖かったパニック発作も、いい経験だったと思えるようになるものです。
illust654.pngのサムネール画像 保育者の抱える問題は多様です。子ども自身の問題や保護者への接し方、保育環境への配慮、地域との関係など、ひとりの保育士の方が対応するには大変な努力が必要になるときもあります。気になる子どもならなおさらです。子どもの発達レベルと障害かどうか、家族の人間関係理解、保護者の育児に対する理解と対応するスキル、共感性など総合的に考えなければなりません。現場にいると様々な雑用もあり、大きな問題があると精神的にパニックになることもあると思います。そんな時に、児童精神科を専門にしている医師はお役に立てると思っています。児童精神科医は、疾患の診断・治療だけでなく、子どもを取り巻く様々な社会的事情を考えてケースワークをしなければなりません。その経験の蓄積が、子どもが保育園に通っている時期にどんなことが重要で将来的に大きな影響が出るかを知っています。
 例えば、子どもに発達障害があると思われるのに、保護者がそれをあえて否定してしまい現実から逃避しようとすることは往々にあります。保育士としては「発達障害がありますよ」なんて直接的な発言は出来ませんから、どのように伝えられ良いか悩んでしまいます。私が現在行っている保育園巡回相談では、担任保育士・園長先生・区子ども課主任とともにその子に対するミニ保育カンファレンスを開いて、保護者の心境などをディスカッションしながら、どのように伝えていったらいいのか、具体的に話し合い決定していきます。保育現場でそんな保育の味方になれればと思っています。
CHTI007.gif 落ち込み方は、人やそのときの状況により様々です。「普通の」憂うつにどまることもあれば、病的なうつ状態に至る事もあります。では、「普通の」憂うつと病的なうつ状態をどこで区別をするのでしょうか?実を言うと、あまりはっきりしたものはありません。実際には連続的なものが多く、どこで線引きをするものかは決まっていません。ただ区別しなければいけないのは、どんな時に専門家に相談したらいいのということです。
 区別する基準としては、、うつの程度のひどさ、持続時間の問題社会日常生活にあたえる影響気晴らしをしても回復をしない休日状態睡眠・食欲などに不調仕事の生産性・創造性が急に落ちてしまう等です。
 これらに注意して、自分が受診すべきか考えるのも良いかと思います。

不安や抑うつは病気か?

CHTI017.gif 抑欝はとても嫌なものをであり、できることなら、避けたいことですか、残念ながら抑欝が不安と並んで人間にとって宿命的な実存的条件などです。抑欝が「自分の思うようにならない結果」として出てくることが多いですし、普段は、『将来、自分の欲っしていない.よくないことが起きるのでは」と言う気がかりから生じることがほとんどです。ところが、実はそんなに思うようにはいきませんし将来に関しても、絶対の保証はありません。そう考えれば、必ず抑欝や不安に襲われるということです。ですから、人間は生きている限り抑欝と不安から、逃れることはできないのです。面白いことに、不安・抑うつを避けようとする人、否認しようとする人ほど、不安や抑うつにとらわれてしまい、逆に不安とうまく付き合う人ほどそんなに不安・抑欝に苦しまなくてもすむことが知られています。
 うつ病が治ると言うことは、抑うつをなくすことではなく 抑うつと上手につきあう、もっと 言うと 抑うつを生かすということです。これは何もうつ病治療だけに限らず、多くの心の病に言えることで、症状をなくすより症状をき生かすことができれば 治癒の方向に向かった事になるのです。

CHTI022.gif まず、自覚症状、ストレスの原因、性格や経過、家族のことなどを詳しく聞いた後、総合的な判断をして医師が診断を下すことになります。その診断後、それに対する生活面での指導、必要が有れば薬物療法、認知行動療法や対人関係療法などを含めた精神療法が行われます。この時に重要なのは、専門医から一方的に指導するのではなく、ある程度の一般的な提案がされ、それに対して、当事者の意見も聞き、ともに考えていくという姿勢でしょう。この丁寧な作業が、より良い、そして迅速な治療に結びつきます。
 その意味でも、主治医との関係は上下関係ではなく、お互いを尊重しながら素直な考えが言える関係が重要になります。医師から「休養をとった方が良いけれども、全てを休んでしまうのは逆に悪化する場合があります」といわれても、すぐにはどうして良いかわからないですよね。具体的にどうすればいいのか、それはお互いを尊重した話し合いが必要です。そんな話が出来る医師を主治医にすることが、うつ状態・不安を解消する第一歩といえます。

huan1.gif この10年間でSSRIなどの抗うつ薬の登場で、製薬会社を中心とした「うつ病に対する啓発活動」が盛んにされました。「なにかする気になれない」という意欲減退、「気分がすっきりと晴れない」という気分の落ち込み(憂うつ気分)、特に朝に落ち込みが強いという気分の日内変動、早朝に目が覚めてしまうなどの睡眠障害、食欲・排泄の変調などの自律神経系異常などが主な症状です。
 杏林大学の田島教授は、「厚生労働省の全国患者実態調査でうつ病の診断を受けている推定患者は92万人に達しており、平成11年度調査の40万人から6年間で倍増している。これは製薬会社のマーケティングが大きく影響している」と語っています。
 医師が処方する薬物を直接消費者に宣伝することは禁止されていますので、専門的な情報は製薬会社が主導の情報サイトや出版物から得られている方が多いのも仕方がないところといえます。しかし、心の疾患は、個人個人違った事情から起きていたりするので、SSRIを内服して休養していれば、そのうち良くなるというのは安易な考えといえましょう。
その意味では、自分と相性の合う専門医を見つけることが一番大切なことです。

illust510.PNG 一般の子どもであれば10のうち6か7まで教えれば、残りの8、9、10は教わらなくても会得します。しかし、高機能であっても自閉症の子どもは、目に見えない到達先は推測できません。しかし、10までおしえれば、8、9の部分は容易に納得する。こうした配慮が必要なために用意されたのが特別支援教育にほかなりません。
 アスペルガー症候群を含めた高機能広汎性発達障害の児童・青年には、その場の流れが読めないという認知特性が有ります。物事の一つ一つの部分はよくわかるが、それらに共通する特性をとらえて全体を把握する力が弱い。この特性は大人になっても存在しています。だからこそ、子どものうちに学校という社会の中で、特性に注目した対人関係の学びの場が必要なのです。

 自閉症の子どもを数年継続的にみていくと、症状としての相互的な社会的関係の異常とか、コミュニケーションの質的異常といっても随分変化してきます。4-5歳になると主治医の姿を見て駆け寄ってくるし、小学生になると、向こうから何らかの言葉掛けをしてきます。中学生になると、オタクの仲間と出かけたりすることもあります。対人的そうご関係の領域やコミュニケーションの領域で起こってくる症状を「障害」と断定するのではなく、対人関係が不器用な子ども、コミュニケーションが不得手な子どもととらえることによって、年齢に応じた指導の手がかりえられます。言語的な活動水準が高いアスペルガー症候群の子どもは、一般の子どもが友達とのかかわりが活発になる中学生から高校生の年齢になると同級生に声をかけるようになりますが、相手の考えの方向性や感情的反応を推測できないため、相手が嫌がることを平気で言ったりすることが目立ってきます。そのため、同級生が無視したりすると、さらに一方的なアプローチをしたり、以前言われたことを思い出して執拗に抗議したりします。いずれにしても、成人ではそれだけ「自閉症」らしさが少なくなってきます。

AD/HDと特別支援教育

CHEX061.gif 特別支援教育の本格的実施に伴って、医学的診断を必要とする子どもが多くなってきています。しかし、医学的診断の際には家族への対応や担任教師の教育的配慮への適切な助言が期待されます。診断名が決まれば学校での適切な教育的対応が可能になるというわけにではありません。確かに日本では情緒障害学級の担任の努力の積み重ねで、重度・中等度の自閉症の教育には優れた成果を得られていますが、その方式でアスペルガー症候群にも功を奏するとは言い切れないし、同じような対応をADHDの子どもに対応すると周囲の生徒との摩擦から、かえって扱いにくい子どもになりかねません。
 ある教師が担任をしたときにはスムーズだったのに、別の教師が担任をしてからは手に負えないというエピソードが多いのもADHDの特徴でもあります。ADHDには、ADHDに独特の特性があり、それにあわせた配慮が必要です。具体的にAD/HDの子どもの扱い方のポイントは、「その子どもの言動につられて、教師自身がADHD的に振る舞わないこと」ではないでしょうか。これは意外と難しいというのも確かですが、、。

 AD/HDについては、診断基準の各項目に「・・がしばしばである」の語句がつけられているように、多動でもないときも多く、ゲームなどは長時間集中して取り組んだりしています。だからこそ、治療として行動療法という治療が有効であるといえます。年齢が高くなるとやたら歩きまわる移動性多動から、授業中椅子に座っていながら消しゴムなど机の上のものをいじったり、椅子をガタガタさせる非移動性多動へと変化していきます。発達障害の症状は固定したものではなく、年齢とともに変化していくのです。
 AD/HDは、抑制と自己コントロールにかかわる脳の部位が発達的に障害されているとされていますが、中学2年生頃になると自己コントロールも可能になってきます。こうしてAD/HDの30%の子どもは思春期までにAD/HDとしての診断は不要になってきます。

寝つきを良くする

CHLI060.gif 寝つき前にあつすぎる入浴・4時間前のカフェイン摂取などの刺激を避けてリラックスすることは大切ですが、それだけではありません。

・眠くなってから就床(30分寝つけなかったら床から離れる。床の中で苦しむのを防ぐ
・規則的な起床時間と光の利用(休日でも起床時間は一定にする。寝つき時計を決めるのは朝の日光
・手先・足先を暖かくする(熱を逃がし内部体温を下げて体を休ませる)

意外なことが重要なのです。

不眠とは

CHLI061.gif 日本大学の内山先生らの研究によると、日本全国から無作為抽出の4000人を対象にした調査で成人の21.4%が不眠であると答えたそうです。その原因の第1位は、「ストレス」ではなく、「年齢によるもの」、「運動習慣がない」等のことの方が強い要因でったと報告しています。私たちは、「寝つけない」「眠れない」とそれを恐怖に思うがあまりに「不眠恐怖症」となり、生理的には当然な状態を必要以上に気にしすぎて、「私は不眠だ!」と思っている節があります。
 また、眠気が増せば、「寝つきが良くなる」訳ではありません。眠気は、睡眠の深さと長さを大きくさせますが、寝つきは良くしません。これも、誤解している方は多いです。