こころの豆知識
時代文化を示すうつ病-メランコリーとディスチミア-
(2008年10月 4日 12:12)

IP08_B36.JPG 1980年代後半以降に職場の共同体的雰囲気が失われていき、さらに、職務境界の設定の曖昧さがある日本的職場という特徴から、メランコリー親和型者が際限ない仕事の負担を背負うことになって、過労死・過労自殺に追い込まれやすいのではないかと大野正和は考察していました(「過労死・過労自殺の心理と職場」青土社)。そして、臨床現場からは、1980年代からうつ病の病前性格としてのメランコリー親和型あるいは執着気質よりも、より若年期発症の軽症で遷延化傾向のあるディスチミア親和型(樽味)へと変化してきていると言われています。メランコリアは自責の病であり、ディスチミアは他罰感情に根ざしています。
 高度経済成長の時の日本は、国民全体で経済を発展させていこうという気運が中心でしたが、小泉政権以降の自由資本主義経済では、堂々と個人の利益を追求することは当然のことという雰囲気が強くなりました。ライブドアの堀江社長がその典型でしょう。生きる価値観が個人主義的なアメリカ的価値観に大きく変わることで、規範・規則を押しつけられる職場におかれて、他罰的な気分変調を起こす現象が広がるのも当然のものかもしれません。
 ここで重要なのは、そのようなディスチミア親和型うつ病といわれている人でも中には治療に反応するうつ病(例えば双極性うつ病など)の方がいることです。時として、偉い先生から、物事が思うとおりにいかないのは「うつ病」のせいではなく、未熟な人格に問題があるのだと気づくことが治療として必要、と言われたりすることがあるようですが、ディスチミア親和型うつ病というレッテルを貼ることより、決してあきらめずに根気強く治療をしていくことが重要です。

dysthymia_dep.gif