こころの豆知識
うつ病・不安障害
IP08_C08.JPG 更年期障害とは閉経前1-2年前から出現し始める「一般的な診察や検査所見では異常が見つからない自律神経失調症を中心とした不定な症状を訴える状態」のことをいいます。症状としては、ほてり、のぼせ、動悸、異常な発汗、冷えなどの血管運動神経系症状、悪心、嘔吐、食欲不振、便秘などの消化器系症状、頻尿、排尿時痛、外陰部のかゆみ、不正出血などの泌尿器系生殖器系症状に加え、イライラ感、頭痛、めまい、耳鳴、不眠、不安、憂うつなどの精神神経系症状と多岐にわたっています。つまり、更年期障害は卵巣機能の低下、失調によって間脳、下垂体の機能亢進を起こし、内分泌・自律神経の失調をきたすもの
 うつ病の主症状は精神に起こります。憂鬱な気分、行動や思考の抑制など。悲哀・おっくう・不安・罪責感・決断不能などをともないます。中には不眠・頭重感のような身体的な症状が起こることもあります。
 更年期障害が原因でうつ病になることもあります。更年期になって初めて起こる抑うつ状態を、更年期うつ病といいます。
 更年期障害は専門の医師にかかることが大切です。ホルモン療法や鎮静薬の投与、精神療法が必要です。

IP08_B36.JPG 1980年代後半以降に職場の共同体的雰囲気が失われていき、さらに、職務境界の設定の曖昧さがある日本的職場という特徴から、メランコリー親和型者が際限ない仕事の負担を背負うことになって、過労死・過労自殺に追い込まれやすいのではないかと大野正和は考察していました(「過労死・過労自殺の心理と職場」青土社)。そして、臨床現場からは、1980年代からうつ病の病前性格としてのメランコリー親和型あるいは執着気質よりも、より若年期発症の軽症で遷延化傾向のあるディスチミア親和型(樽味)へと変化してきていると言われています。メランコリアは自責の病であり、ディスチミアは他罰感情に根ざしています。
 高度経済成長の時の日本は、国民全体で経済を発展させていこうという気運が中心でしたが、小泉政権以降の自由資本主義経済では、堂々と個人の利益を追求することは当然のことという雰囲気が強くなりました。ライブドアの堀江社長がその典型でしょう。生きる価値観が個人主義的なアメリカ的価値観に大きく変わることで、規範・規則を押しつけられる職場におかれて、他罰的な気分変調を起こす現象が広がるのも当然のものかもしれません。
 ここで重要なのは、そのようなディスチミア親和型うつ病といわれている人でも中には治療に反応するうつ病(例えば双極性うつ病など)の方がいることです。時として、偉い先生から、物事が思うとおりにいかないのは「うつ病」のせいではなく、未熟な人格に問題があるのだと気づくことが治療として必要、と言われたりすることがあるようですが、ディスチミア親和型うつ病というレッテルを貼ることより、決してあきらめずに根気強く治療をしていくことが重要です。

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SSRIとは?-有効性と副作用-

 選択的セロトニン再取り込み阻害薬(Selective Serotonin Reuptake Inhibitors; SSRI)は抗うつ薬の一種。シナプスにおけるセロトニンの再吸収に作用することでうつ症状の改善を目指す薬。
 SSRIとして有名なプロザックはアメリカで最も広く用いられている抗うつ薬であるが、治験が殆んど行なわれていないため、承認申請中ではあるが日本国内における発売は未定である。日本で承認済みなものは、フルボキサミン(デプロメール、ルボックス) 、パロキセチン(パキシル) 、セルトラリン(ジェイゾロフト)がある。
illust522.png 従来の抗うつ薬でみられた便秘・口渇などの抗コリン系副作用は少ない内服しやすい比較的新しい薬であるが、内服初期にみられるアクチベーション症候群や薬を急にやめることによるセロトニン中断症候群などの問題もあります。

アクチベーション症候群
 SSRIの投与初期に現れる不安、焦燥感などを特徴とする中枢神経系の有害事象。重症になれば、企死念慮、攻撃性、アカシジア(着座不能症)、躁状態などが現れることがあります。

セロトニン中断症候群
 最も多い症状はめまいで、次に多いのは、知覚異常で、通常、上半身か下肢の近位部にあらわれ、灼熱感、刺痛感、しびれ感、電撃感といったように表現されます。その他、消化器症状では特に嘔気が現れます。疲労感、頭痛、発汗、筋肉痛、神経過敏などの精神症状、不眠や鮮明な夢などの睡眠障害がみられます。また、運動異常としてアカシジア(正座不能)、不安定歩行、口及び舌の運動異常、精神症状として、抑うつ気分、突然の泣き、易興奮性、情緒不安定がよくみられる症状ですが、これらは原疾患であるうつ病の再発としっかり区別する必要があります。
 SSRIの中断症状の大半は、中止ないし減量の1~3日以内に発現し、中止後一週間以上経過してから発現することはめったにありません。症状は通常軽度で一過性のものです。
 実際にこのような中断症状が起こってしまった場合には、今のところ再投与以外によい方法はありません

CHTI007.gif 落ち込み方は、人やそのときの状況により様々です。「普通の」憂うつにどまることもあれば、病的なうつ状態に至る事もあります。では、「普通の」憂うつと病的なうつ状態をどこで区別をするのでしょうか?実を言うと、あまりはっきりしたものはありません。実際には連続的なものが多く、どこで線引きをするものかは決まっていません。ただ区別しなければいけないのは、どんな時に専門家に相談したらいいのということです。
 区別する基準としては、、うつの程度のひどさ、持続時間の問題社会日常生活にあたえる影響気晴らしをしても回復をしない休日状態睡眠・食欲などに不調仕事の生産性・創造性が急に落ちてしまう等です。
 これらに注意して、自分が受診すべきか考えるのも良いかと思います。

不安や抑うつは病気か?

CHTI017.gif 抑欝はとても嫌なものをであり、できることなら、避けたいことですか、残念ながら抑欝が不安と並んで人間にとって宿命的な実存的条件などです。抑欝が「自分の思うようにならない結果」として出てくることが多いですし、普段は、『将来、自分の欲っしていない.よくないことが起きるのでは」と言う気がかりから生じることがほとんどです。ところが、実はそんなに思うようにはいきませんし将来に関しても、絶対の保証はありません。そう考えれば、必ず抑欝や不安に襲われるということです。ですから、人間は生きている限り抑欝と不安から、逃れることはできないのです。面白いことに、不安・抑うつを避けようとする人、否認しようとする人ほど、不安や抑うつにとらわれてしまい、逆に不安とうまく付き合う人ほどそんなに不安・抑欝に苦しまなくてもすむことが知られています。
 うつ病が治ると言うことは、抑うつをなくすことではなく 抑うつと上手につきあう、もっと 言うと 抑うつを生かすということです。これは何もうつ病治療だけに限らず、多くの心の病に言えることで、症状をなくすより症状をき生かすことができれば 治癒の方向に向かった事になるのです。

CHTI022.gif まず、自覚症状、ストレスの原因、性格や経過、家族のことなどを詳しく聞いた後、総合的な判断をして医師が診断を下すことになります。その診断後、それに対する生活面での指導、必要が有れば薬物療法、認知行動療法や対人関係療法などを含めた精神療法が行われます。この時に重要なのは、専門医から一方的に指導するのではなく、ある程度の一般的な提案がされ、それに対して、当事者の意見も聞き、ともに考えていくという姿勢でしょう。この丁寧な作業が、より良い、そして迅速な治療に結びつきます。
 その意味でも、主治医との関係は上下関係ではなく、お互いを尊重しながら素直な考えが言える関係が重要になります。医師から「休養をとった方が良いけれども、全てを休んでしまうのは逆に悪化する場合があります」といわれても、すぐにはどうして良いかわからないですよね。具体的にどうすればいいのか、それはお互いを尊重した話し合いが必要です。そんな話が出来る医師を主治医にすることが、うつ状態・不安を解消する第一歩といえます。

huan1.gif この10年間でSSRIなどの抗うつ薬の登場で、製薬会社を中心とした「うつ病に対する啓発活動」が盛んにされました。「なにかする気になれない」という意欲減退、「気分がすっきりと晴れない」という気分の落ち込み(憂うつ気分)、特に朝に落ち込みが強いという気分の日内変動、早朝に目が覚めてしまうなどの睡眠障害、食欲・排泄の変調などの自律神経系異常などが主な症状です。
 杏林大学の田島教授は、「厚生労働省の全国患者実態調査でうつ病の診断を受けている推定患者は92万人に達しており、平成11年度調査の40万人から6年間で倍増している。これは製薬会社のマーケティングが大きく影響している」と語っています。
 医師が処方する薬物を直接消費者に宣伝することは禁止されていますので、専門的な情報は製薬会社が主導の情報サイトや出版物から得られている方が多いのも仕方がないところといえます。しかし、心の疾患は、個人個人違った事情から起きていたりするので、SSRIを内服して休養していれば、そのうち良くなるというのは安易な考えといえましょう。
その意味では、自分と相性の合う専門医を見つけることが一番大切なことです。