診察内容
道玄坂しもやまクリニック TOP > 診療内容: チック障害(トゥレット症候群)

持続性(慢性)運動または音声チック症

 チックとは突発的、急速、反復性、非律動的、常同的な運動あるいは発声で、発症が18歳未満で4週間以上持続するものをいいます。最近では、脳の機能的障害として遺伝的側面も検討されるようになり、とくに脳内ドーパミン受容体との関連が注目されています。しかしながら、チックは本人が止めようとするとかえって増強したり、ピアノの発表会などの緊張場面で強まることがあるのは確かで、チックは心理状態に影響されやすい疾患でもあります。


1,分類

[1]運動性チック

 顔面のチックはまばたきや、口をゆがめたり、鼻翼をピクピクした動きなどがあります。頸部では頭をねじったり、前屈、あるいは後屈させたり、1回転させるなどです。肩ではぴくっとさせたり、肩をすぼめたりします。手ではぴくっとさせる、くねらせる、手を振るなどです。体幹ではそらせたり、ねじったりします。脚では蹴る動きをしたり、スキップをしたりします。運動性チックの中で、まばたきは日常動作でみられるものであり、多少まばたきが多くても周囲の人間はとくに気にしていません。しかし、周囲の人の目にとまりやすいチックでは、本人も気にするようになります。また、手のチックなどでは、字を書くのが困難になるなど、日常生活に支障をきたすことがあります。

[2]音声チック

 音声チックでは咳払いがもっとも多く、その他単純な音声、複雑な発声、汚言(バカ、死ね、くそババア、卑猥な言葉)などがみられます。咳払いは日常よくみられるものであり、周囲の人間もとくに気にしていないことが多いのですが、甲高い奇声や汚言は、運動性チックよりも周囲の注目を集めてしまいます。そのため、本人がそのことを気にして登校を渋ったり、外出がしにくくなったりすることが問題になります。

[3]トゥーレット症

 チック障害は、症状の持続が4週間以上12カ月未満の一過性チック障害、18歳未満で発症し、12カ月以上持続する慢性チック障害、同様の持続期間でかつ多彩な運動チックと一つまたはそれ以上の音声チックがあるトゥーレット症に分類されています。

2,成因

 チックの発現には、脳の大脳基底核・視床・皮質回路の異常、線条体におけるドパミン活性の低下とそれに続発したドパミンD2受容体の過感受性が関与するといわれ、その基盤には遺伝素因があると推測されます。また、発達過程でドパミン活性が低下すると前述の回路の他、前頭葉の機能的および形態的発達も障害され、情緒や知的行動の問題を引き起こす要因となるともいわれます。ドパミン神経は環境の影響は受けませんが、大脳基底核・視床・皮質回路には環境の影響を受けるセロトニン神経も入ってきており、チックにはセロトニン活性低下とそれを引き起こす環境要因も影響します。なお、ドパミン、セロトニンは行動や情緒面に影響を及ぼす脳の代表的な神経伝達物質です。

3,治療

 治療が必要となるチック症は、チックにより社会的、職業的、または、ほかの重要な領域での機能の著しい障害がひきおこされるというほどのチックのことをいいます。逆に生活にそれほどの支障を来たさないチックは障害とはいわず、治療の対象にはなりません。多くのチック症は一年以内に消失する一過性チック症で、家族や周囲の理解が大切となり、環境調整により軽減、消失することも少なくありません。
  ただし多彩な運動性チック、頻回の音声チックが続き、学習や日常生活に著しい支障を来たすようであれば、薬物療法を行います。薬物療法は前述したドパミン活性低下によるドパミン受容体の過感受性およびセロトニン活性低下への対応が中心となります。前者には通常ドパミン受容体遮断薬のハロペリドール、ピモジドがよく使用されていますが、小児期では、ドパミンは、脳とくに前頭葉の発達に重要な役割をはたすことから、できるだけ使用をさけたいものです。使用する場合は、出来るだけ少量を用い、過鎮静に注意を払います。ドパミン受容体遮断薬のうち、前頭葉のドパミン機能低下が少ないといわれるリスペリドンは比較的安全に使用できると思われます。チック症に対するエビデンスのある薬物の中では、効果と副作用のバランスが良いエビリファイがまず使用されることが多いです。また、少量のl-dopa、塩酸クロニジン、強迫性障害が並存している場合は選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)やイミプラミンを使用することもあります。「チック〜治療とその後の経過〜」についてはこちらをクリック
予約状況の確認
予約状況の確認